お口の中は大地震!?歯や歯茎を傷めつける歯ぎしり、トラブルを回避する5つのポイント

歯には、咀嚼をするたびに縦・側方に応力(負担)がかかります。しかし、食事をする際の咀嚼力は瞬間的なもので、間に食物というクッションがはさまっていることもあり、歯にそれほど大きな負担はかかりません。

ところが、皆さん自覚のない「無意識」のうちに、強大な負担をかけていることがあるのです。それは、物事に集中しているときや就寝中等に多く起こっています。そう、「歯ぎしり」「食いしばり」です。

f:id:dkenty:20170410162337p:plain

専門的には「ブラキシズム」と言いますが、これを起こす原因として、刺激を含めたストレス・遺伝性・飲酒や喫煙、薬物などが考えられています。初めは軽くても、慢性的・持続的に応力がかかり続けることで、歯や歯を支える歯周組織は確実にダメージを受けており、歯にひびが入ったり、耐え切れず歯根から真二つに割れてしまったり、歯周病が進みやすかったり、むし歯ができやすくなったりなど、様々なトラブルを起こしてきます。

実はとても頻繁に起こることなのです。医院の患者さんにも非常に多く見られ、歯の寿命を短くしてしまったり、場合によっては顎の関節を痛めてしまったり、深刻な問題を起こしてくることも多いのです。早期に兆候をみつけ、対処をすることによってトラブルを回避していくことが大事です。

通常咀嚼している時以外は、上下の歯との間に前歯で3〜4ミリ位、奥歯で0.5〜1ミリ位の空隙があると言われています。この空隙を安静空隙と言います。一日のうちで、上下の歯が接触する時間の総計は、17.5分であると言われています。つまり、一日で歯や歯周組織には殆ど力が掛かっていない時間の方が圧倒的に多いのです。トラブルを回避するためには歯や歯周組織に負担を掛けないよう安静にしてあげることが大事なのです。

就寝時のブラキシズムは、1回に7〜10秒、1時間に4〜5回行い、起きている時に思いっきり咬んでいる以上の力で噛みしめていると言われています。あまり負担がかかっていないところに、それだけの力が夜間に掛かるだけでも問題が起こることは容易に予想がつくと思いますが、実は昼間の噛み癖(ブラキシズム)があると更に歯や歯周組織に良くないことが分かってきています。

では、これらブラキシズムには、どのように対処したらよいのでしょうか。具体的な対処方法としては、

①昼間のブラキシズムは、無意識にしている事が多いようです。何かに集中している時、例えばパソコンをしている時、テレビを見ている時、料理を作っている時など。起きている時は努めて咬まないように気を付けます。

②ブラキシズム対策のマウスピースを夜間付ける。寝ている間は意識が無いので、ご自身ではブラキシズムに気を付けようがありません。マウスピースは、歯や歯周組織、顎関節に過度な負担が集中するのを軽減してくれます(エアースケーラー)。

③ブラキシズムを悪化させる薬物や嗜好品、飲酒、喫煙に気を付ける。特に薬物に関しては医師・歯科医師の指導を受けてコントロールするべきです。

④ストレスの掛かりそうなイベントをチェックする。生きていく上でストレスの無い環境はあり得ませんが、例えばスポーツなどの運動がブラキシズムのきっかけになることがあります。何かイベントがあったときは、ブラキシズムが起こることを想定しておくと良いと思いまいす。

⑤定期的な歯科検診を怠らないようにする。検診により、ご自身で気が付けないブラキシズムの影響を早期に察知する事ができるかもしれません。早く対処できれば、大変な治療を受けずに済んだり、歯を残せる確率も上がります。

まとめ

ブラキシズムは自覚が無い人が多いのと、その影響を認識しにくいのが難しいところです。診断のつきにくい痛みなどの症状に、実はブラキシズムが関わっていることもあり、診断が付きにくい為に対処が遅れてしまう事もあります。

できるだけブラキシズムの影響の兆候を早期に掴むためにも、定期的な検診が大切である事を最後に強調したいと思います(歯科ユニット)。